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女性医療ネットワーク主催公開セミナー
「若い女性に増えている病気 〜子宮頸がん 〜」開催

2009.07.04

現在世界の女性のがんの約10%を占めるといわれる、子宮頸がん。日本でも20代〜30代の若い女性の患者数が増加しています。そんな子宮頸がんの現状と予防、対策について話し合うセミナーが、2009年7月4日に盛岡で開かれました。

講演1 子宮頸がんって何? 〜実情と予防について〜上坊敏子先生(社会保険相模野病院婦人科腫瘍センター センター長)

子宮頸がん検診率が、世界平均を下回る日本

子宮頸がんが進行すると不正出血や悪臭を伴うおりもの、腹痛や腰痛、脚のむくみなどの症状があらわれます。しかし初期はほとんど無症状です。また早期の子宮頸がんはどんなに経験を積んだ医師が診察しても、肉眼で見つけることは不可能です。しかしきちんと検診を受けて早期に発見できれば治療も簡単で、必ず治すことができます。検診には異常な細胞がないかどうかをみる「細胞診」と、細胞にHPVが感染していないかを調べる「HPV検査」がありますが、日本では細胞診が主流です。

がんはHPVに感染してから発症まで5〜10年の年月がかかりますので、この期間内に対処することが非常に重要です。そのためのカギとなるのが定期的な検診ですが、日本の子宮頸がん検診受診者は1980年をピークに減少しています。以前は30歳以上の女性を対象に1年に1回の検診でしたが、現在は20歳以上を対象に2年に1回となっています。しかし検診率は依然低く、OECDによるとアメリカの検診受診率は82.6%、ヨーロッパは70%台、世界平均は 50%台ですが、日本はその約半分といわれており、先進国の中で目立って低い状態です。

ちなみに平成19年の国民生活基礎調査による年齢別の子宮頸がん検診率は、20代で5〜3人に1人でした。また「なぜ検診を受けないのか?」といった質問に関しては、

  • 時間がない、面倒だ
  • 費用がかかる
  • 手続きの仕方が分からない
  • どんなふうにされるか分からない
  • 症状がない
  • 自分の年齢ではがんにならない

などが声が挙げられています。

子宮頸がんは予防する時代へ

そして現在、世界の子宮頸がんの取り組みは「予防」が主流になっています。それはHPVの感染を予防するワクチンを接種することで、感染を防ごうというもの。オーストラリアやドイツ、ノルウェーでは全額公費負担でうけることができます。日本ではおそらく今年の10月に最初のワクチンが承認される予定ですが、誰がいつ、お金はどうするか、などの詳細は今の時点では分かりません。予防できるがんで女性たちが苦しまないためにも

  • 正しい知識の啓発(一度でも性交渉があればリスクがある旨を伝える)
  • 検診を受けやすい環境を作る
  • 子宮頸がんについての学校教育を行う
  • ワクチンの正しい情報公開をする

などの取り組みを行っていきましょう。

子宮頸がんワクチンの基礎知識

ワクチン接種の時期は?

HPVに感染する前、つまり性行為が始まる前がもっとも効果的です。

世界と日本の現状は?

アメリカやドイツ、イギリス、オーストラリアなど世界の多くの国で使用されていますが、日本では未承認。
しかし現在、最も高頻度に検出されるHPV16型と18型に対するワクチンをグラクソ・スミスクライン社が、16型と18型に加えて6型と11型という、尖圭コンジローマに対するワクチンも入っているタイプのワクチンを万有製薬(メルク社)が、それぞれ厚生労働省に認可を申請中。
今年の10月ごろには承認されるのでは...と期待されています。

費用は?

費用は国ごとに異なり、全額公費負担される場合、一部の公費負担がある場合、優先対象年齢に限り全額公費負担、などの例があります。
日本は承認されていないので公費負担の程度は不明ですが、海外の例をみると、大体金額は5万円程度と予想されます。

講演2 若い女性の子宮がん予防 〜世界では、日本では〜シャロン・ハンリ先生(日本赤十字北海道看護大学准教授)

私の祖母は息子、つまり私の父がまだ5歳のときに乳がんで亡くなりました。
そしていまこの時代にも、幼い子供を残してがんで亡くなる女性がたくさんいます。

確かにがんは難しい病気ですが、子宮頸がんに関しては唯一予防できる病気です。だからこそ女性たちに命を落としてほしくない。そう思ってここ数年、子宮頸がんの予防とHPVワクチンについて研究しています。

さてイギリスでは今年3月、人気タレントのジェイド・グッディさんが子宮頸がんで亡くなりました。イギリスでも低年齢層の子宮頸がん検診率は、日本と同様に低い状態だったのですが、彼女のことで子宮頸がんの知名度が上がり、検診率がグンと向上しました。
素人参加型番組で一躍有名になった彼女は、自分が子宮頸がんであることを世間に公表。死亡したときにはブラウン首相が異例のコメントをおくるほどの国民的有名人だったのです。

子宮頸がんワクチンを取り巻く状況について

子宮頸がん予防の有効な手立ては、やはりワクチンの接種と正しい教育です。イギリスでは高校2年のときに子宮頸がんに関する教育を行いますが、ジェイド・グッディさんは16歳で高校を退学していたため、子宮頸がん検診に対する教育を受けていなかったのです。

2009年7月現在、HPVワクチンは111ヵ国で認可されており、そのうち20ヵ国では国をあげて大規模な導入をしています。接種年齢は国によって異なりますが、HPVに感染する前に接種するのがもっとも効果的です。
しかしここで問題となるのが、その対象年齢。日本でも欧米でも対象年齢は議論されています。その大きな理由のひとつが「自分の娘の性行為を促す原因になる」と考える親がいるためです。またHPVは男性にも感染するため、オーストリアは男性にもワクチンの接種を推奨しています。しかし男性に対しての財政支援は今のところありません。

またワクチンに対する人々の認識には、国によって大きな差があります。公衆衛生政策がうまくいっているのはオーストラリアとイギリスでしょう。
特にオーストラリアは、子宮頸がんワクチンを開発したのが自国のクインズランド大教授だったため、開発当初から国民が注目していました。そして2007年に学校でのワクチン接種の無料化を実現しています。

イギリスでもテレビCMなどで大々的な告知がされ、昨年9月から、18歳までの女性を対象にワクチンの接種がスタートしています。このようにオーストラリアとイギリスでは高い摂取率を上げていますが、こうした取り組みが、今後世界規模で行われていくことが、何よりも大切なことだと思います。