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公開セミナー「女性の健康を支援する現場からのメッセージ」開催

2007.03.04

3月4日(日)、持田製薬内ルークホールにて、女性医療ネットワーク公開セミナーが開催されました。当日は「女性の健康を支援する現場からのメッセージ」をテーマにクリニックや行政など様々な立場でご活躍の方々から、活発な意見が交わされました。

ウィミンズ・ウェルネス銀座クリニックの活動報告「一人の女性をトータルで診る」女性医療の実現を目指して

対馬先生「日本で最高かつ最善の女性医療を実現する」ことを理念とした、ウィミンズ・ウェルネス銀座クリニック。院長の対馬先生は、いわずとしれた女性医療のエキスパートです。

「もともと女性を支えるために産婦人科医を志したので、本当はトータルに女性を診る科に入りたかったんです。でも1984年当時、そんな病院は存在しませんでした。そこで産婦人科医として勤務しながら、女性医療の専門家が集まった勉強会「性と健康を考える女性専門家の会」などで勉強を重ねました。その後いくつかの女性総合外来の立ち上げに関わったり、ときには大学病院や国立病院での女性総合外来の設立を考えたり......。最終的には"自分自身でやってみよう"と決断し、2002年に「都会の女性の保健室」をテーマに銀座にクリニックをオープンしました」

 2004年には現在の中央通り沿いに移転。産婦人科、内科、乳腺外科、心療内科などを併設した、女性総合外来として新たなスタートをきりました。

「ウィミンズ・ウェルネスでは患者さんの病気や疾患だけにフォーカスするのではなく、女性の一生涯を通じた"ウェルビーイング"に目を向けています。そのため食事や運動、メンタルケア、アイデンティティの確立まで、一人の方をトータルで診療することが重要です。患者さんが安心できる環境を作るため、内装にはとことんこだわりました。まず重要視したのは、光が注ぎ風が通るような空間にすること、それからプライバシーを守るため、声がもれないような設計をすることです。そこで建物の窓際にずらりと診察室を並べ、スタッフの部屋は奥の暗いほうに設置しました(笑)」

 初診の方の相談には、専用のコンシェルジュが対応。まずは年代にあわせた検診メニューを受けるのだとか。

「検診は自費診療なので、一般の保険診療に比べて患者さんの負担は大きいと思います。しかしそれを受けることでのプラス面をどれだけ感じてもらえるか、そこが私の勝負どころだと思っています。とはいえ経営の現状は楽ではありません。今回収支の資料を作ってあらためてガッカリしたんですが(笑)、現状は赤字です。原因は様々ですが、まず医師の人件費が高いこと、それからセラピールームがうまく軌道にのっていないことなどが挙げられます。いかに赤字を減らし、採算をとっていくかが、今後の大きな課題です。このようにまだまだ成功している段階ではなく、本当に苦しみながらの毎日です。しかし私自身が若いときからこだわってきた女性医療に対する思い、そして人が人を支えあうというネットワークを確立させるべく、今後も実現させていきたいと思っております」

 ウィミンズ・ウェルネス銀座クリニック

ウィミンズ・ウェルネス銀座クリニック
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千葉県松戸健康福祉センターにおける女性の健康支援健康相談、ホームページを通じて、女性の健康をケアしています

古賀晴美先生対馬先生の講演に続き、千葉県松戸市の松戸健康福祉センター保健師である、古賀晴美先生の講演がありました。同センターは行政の中でも女性医療に対しての理念をもって活動しているセンターとして、現在注目を集めています。

「千葉県では、子どもから高齢者までイキイキと暮らせる社会の実現を目指した"健康ちば21"を策定。なかでも女性の健康問題に注目し、平成14年には、県内のすべての保健所で女性の健康相談を開始しました。具体的にはまず電話での相談に保健師が対応。その上で希望者は面接相談へとすすみます。現在の面接日は月に2〜3回。当日は症状にあわせて内科医、産婦人科医、臨床心理士などが対応し、医学的なアドバイスや医療機関の紹介、生活指導などを行ないます」

 しかし健康相談は平日のみなので、時間がとれない女性も多いとか。

「そこで平成16年には松戸健康福祉センターのホームページを開設しました。なかでも『あなたにも伝えたい...私の健康の悩みと解決法』というコーナーでは、健康問題の悩みを持つ人、それを解決した人からの投稿を募り、情報検討委員会が内容を判断したのちサイトへ掲載する、という新たな試みをしています。松戸市は比較的地域との関わりが希薄な地域です。その中でどういうふうにして女性たちが元気に生きていくか、また性差に基づいた医療をどのように根付かせていくのか、今後は行政の中だけではなく、NPOなど様々な機関と連携しながらやっていきたいと思っています」
 
松戸健康福祉センター
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We!Toyamaの取り組みと展望頑張る富山の女性を支援し、元気にしていきたい

種部恭子先生昨年、富山県に「女性クリニック We!Toyama」をスタートさせた種部恭子先生。

「富山市の中心から少し離れたところに田んぼ一枚分の土地を買って作りました(笑)。婦人科、乳腺外科、女性検診やメンタルケアに力を入れ、お産はやっていません。そして患者さんにリラックスしてもらえるよう医師も看護師も白衣を着ていません。病院名のWeというのはWomens Empowermentから名づけたもの。その名の通り、富山の女性たちに元気になってもらえるような病院を作りたかったんです。富山県というのは女性の就業率が高く、出生率も高い。持ち家率は全国トップです。でもその陰で女性たちが泣いている。なぜなら女性たちは嫁、妻、母、労働者の全ての役割をこなしているからです。本当にみんなギリギリのところまで頑張っているんですね。そのうえDVも多い。Weではそれぞれの女性たちにストレスの原因は何か、そこからどうやって抜け出すか、そして抜け出すためのトレーニング(経済力をつける、自分の意見を言えるようにする...など)をしています」

 そこで活躍しているのが"フェミニストカウンセラー"と呼ばれる専門のカウンセラーなのだとか。

「メンタルに問題があるな、と判断された患者さんは、連携しているフェミニストカウンセラーにお願いしています。フェミニストカウンセリングの特徴は「あなたのどこが問題か」ではなく、「あなたはどこも悪くない」から始まること。離婚問題や嫁姑問題に悩む多くの女性がここを訪れ、その結果離婚調停に発展するケースも少なくありません。クリニックをスタートさせて気が付いたのは"女性を元気にするためには医療だけでは解決しない"ということです。特にDVが多いことに驚きました。これからは被害者だけでなく、DVの加害者も作らないために、ひとりひとりを大切にする社会を作るための教育や、経済的な問題、システム作りの構築までを考えていく必要があると思っています」

女性クリニック We!Toyama女性クリニック We!Toyama
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