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第10回公開セミナー「女性のからだと免疫のしくみ」開催

2006.11.12

11月12日(日)、持田製薬内のルークホールにて、女性医療ネットワーク主催の第10回公開セミナー「女性のからだと免疫のしくみ」が開催されました。開会に先立ち、ウィミンズ・ウェルネス銀座クリニックの対馬先生より「女性医療ネットワークが今年10月にNPO法人として認可されました。今後もますます専門分野を超えた人的ネットワークを作り、患者さんのために役立つような会にしていきたいと思います」と開会の挨拶がありました。

女性のからだと膠原病膠原病、リウマチでも正しい治療をすれば、妊娠・出産は可能です

阿部香織先生自己免疫疾患の代表といえば甲状腺疾患。なかでも膠原病は若い女性がもっとも心配しなくてはいけない病気です。そこで1時間目は「女性のからだと膠原病」と題し、順天堂大学膠原病内科の阿部香織先生による講演が行なわれました。

まずは膠原病の代表的な病気であるSLEの具体的な診断基準や、診断基準を満たしたからといって必ずしも治療が必要なわけではないこと、ステロイドによる治療が進歩している、などSLEに関してのお話がありました。

 また膠原病は若い女性の発症率が高いことから、妊娠・出産という課題が避けられません。阿部先生によると、SLEの方が妊娠を考える場合は「早産や臓器病変というリスクを考えた上で計画的に行なうことが大事」とのこと。そして膠原病の中でもっとも多いリウマチの方が妊娠を考える場合は、「リウマチで使う薬のほとんどは妊娠中に使えないので、よく検討が必要。また機能障害をもった方が多いので、育児への影響が懸念される」というお話がありました。

膠原病、リウマチとも予防的治療はなかなか難しいので早い段階で治療を行い、タイミングをはかった妊娠が望ましいとのこと。「しっかり治療を受けていれば、たとえリウマチや膠原病を患っていたとしても妊娠、出産は十分可能です」という力強いメッセージが印象的でした。

女性のからだと甲状腺の病気甲状腺は明るい疾患希望をもって未来を考えて

百渓尚子先生阿部先生の講演に続き、2時間目には東京都予防医学協会内分泌内科の百渓尚子先生による、「女性のからだと甲状腺の病気」の講演がありました。

まず女性に多いという橋本病に関しては、「橋本病はホルモンに異常がないこともあるので会社の検診などでは分からず、乳がん検診の触診で見つかる例も多数あります」とのこと。そして橋本病の方の妊娠と出産に関しては、「妊娠しにくいわけでもなく、また妊娠中毒症もほとんど報告がありません」との解説がありました。むしろ問題なのは、バセドウ病なのだとか。「バセドウ病はホルモンが過剰なままだと妊娠しにくいこともあり、放置すると流産が多いのがはっきりしている」のだそうです。

 そしてどちらの病気にも共通しているのが、「薬を飲んでいて妊娠すると奇形が生まれるのではないか?」と多くの女性が怯えているということ。これに関して先生は、「この病気だからといって、奇形のリスクが特別高いわけではありません。いくら説明をしても患者さんの中には、リスクを避けたいからと中絶を望む人もいらっしゃいますが......。バセドウ病も橋本病も産後に悪化することはありますが、基本的に妊娠・出産には影響しないと考えています。女性の場合、甲状腺の病気はたとえもっていてもそれほどツライことはない、もっと明るい疾患と考えていただいていいのではないでしょうか」

女性のからだと免疫のしくみ 〜妊娠から偉人の病気まで〜歴史上の人物から様々な病気が見えてきます

早川先生産婦人科医で生殖免疫学を中心に研究されている、日本大学先端医学講座の早川先生。

「生殖免疫学とは生殖生物学と免疫学の境界的な領域。"たとえば胎児はなぜ母体に拒絶されないのか?"これに関しては、50年ほど前に4つの仮説がとなえられています。しかしそのどれもが間違っていることが後に分かりました。その仮説を検証することによりその後の研究が進んだともいえます」

 またそのほか先生は、「芸術医学史」なる歴史上の人物の病気を分析、推測することも行なっているとか。

 「スコットランドの名門スチュアート家の最期の女王アンは記録に残っているだけでも、17回妊娠して15回流産。1回死産して、1人だけ子どもを産んでいます。その頃僕たちがいればもう少し助けられたと思うのですが(笑)。またイングランドの女王、メアリー1世は2年ほど生理がこない時期があり、歴史の本によると"想像妊娠だった"と書いてあります。でも実は妊娠ではなく、無月経だったのではないかと思うのです。その後"お腹がふくらみ脱毛して死んだ"という記述があるので高プロラクチン欠症が根底にあった、婦人科疾患ではないかと。このように芸術医学史のほか生殖、免疫、感染など多岐に渡って日夜研究しています。自分でもやっていることが支離滅裂だとは思いますが(笑)」